「うっわ!すっげー!!!」

エドは、はしたなく座敷に入るなりそう叫んだ。

「兄さん、はしたないよ。」

それをいさめる弟。

いつもの二人。でもそれをくすくすと笑うもう一人がいない。

その人はすごく不機嫌な顔をして上座の一番上の席に座っていた。

だ。

「今年はちゃんが帰ってくるって聞いたから婆ちゃん、がんばっちゃったのよ」

ユミがエドに説明した。

「?どうしてですか?」

不思議に思いアルはユミに聞いた。

「だってちゃん、一族の長だからね。」

「、、、族長、、、、ってあの年で?」

エドが驚いてユミを半疑の目で見た。

「そう。ちゃんが一族の直系なの。今ここにいる私たちはみんな分家よ。

ちなみに毎年こんなじゃないからね。ちゃんが帰ってくるって聞いてみんな集まってきたのよ。」

目を細めながらユミは語る。座敷には十数人の大人に子供が引き締めていた。

「みんなのこと心配してたの、、、。ここより安全なところは早々ないもの。」

「心配?なんでだ?」

エドがユミたちが何に心配しているのかうすうす感じながら聞いてみた。」

「あなたたちもウィルと同じなんでしょう?いいえ。それよりもあの憎たらしいフルカネッリと同じと言った方が近いかしら。」

それまでの親しげだった表情はすでにユミにはなかった。

そこにあるのは親しい、愛しい者を奪われて憎悪にゆがんだ顔だった。

「!」

エドとアルは思わず身を構えた。まるでユミの視線が自分たちの精神に入り込んで切り刻まれる感覚に陥った。

そんなエドとアルの紋付を引っ張るものがいた。

怯えた表情の小エドと小アルだった。

エドとアルの不安を感じ取ったのだろう。それを見てユミは元の親しげな表情に戻った。

「ごめんなさい。その道が嫌いなわけじゃないのよ。でもね、それでを危険な道を歩みだしたことは確実だから。」

ユミの瞳が揺れるのを二人は見て取った。本当にのことを心配でしょうがないのだろう。

「ところでフルカネッリって誰だ?」

エドがこのユミに心底嫌われている人物について質問した。

「フルカネッリはウィルとの師匠よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2004/2/19脱稿

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