『ところでお前で遊ぶためにここに来たわけではないぞ。』
やっとのことで事の収集に初老の男性がのり始めた。
『私は当夜と言う。よろしく。』
男は兄弟に恭しくお辞儀をした。
『手前、英語は不得意でしてな。申し訳ないが日本語で話させてもらう』
二人も首を縦に振った。それを見るとトウヤはにっこりと笑った。
『翁の言ったとおり聡明だな』と呟いた。
これには二人とも頭を傾げたが聞かなかったことにした。
『さて、三人とも着替えてもらえるかな?』
にっこりと笑いながらそう言った。
「は?」
思わず言葉が出てこない。
そして三人のうちの一人、だけが真っ先にユミを見た。
『まさか、、、用意した、、、とか?』
「したわよ〜エドくんとアルくんのもんつきはかまもちゃんと」
そこだけきちんとエドたちにわかるようにユミは言う。
『モンツキハカマ?』
『私が着ている服と同じものだよ。』
エドとアルがどうも「はかま」について理解していないようなのでトウヤが答えてくれた。
『きっと似合うだろう。』
ふむふむとこの男性特有の首を上下に振る動作を繰り返しながらトウヤは言う。
そう言いつつの肩をつかんだ。
『着替えたら朝餉を食べてそのまま神社へ参るぞ。』
うむを言わせぬ顔つきだった。
『のーーーーー』
そう叫びつつは引きずられながらエドとアルはユミに抱かれてげっそりしている二人を心配そうに見ながらついて行った。
「兄さん、僕、変?」
アルはおずおずと後ろとかを気にして兄に問う。
「いや、似合ってるんじゃないか?」
二人は流されるまま紋付袴を着せられていた。
着せたのはだ。
「、、、、、まだむくれてるのかよ。この服、そんなに恥ずかしい奴なのか?」
エドはまだ部屋の隅で沈んでいるに声をかけた。
「ふんだ。大きくなってからこの服を着る人はいいよね。まだ七五三には見られないから。」
エドたちにはよくわからない理由ではこの袴を嫌っているらしいことはなんとなくわかった。
きっと何かトラウマがあるんだろう。
まさかそのトラウマがこれから起ころうとはこの二人は思いもしなかった。
2004/2/18脱稿
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