「エドー!アルー!!」
ぱたぱたという音が聞こえてきたと思ったらが現れた。
「じいちゃんとばあちゃんが逢いたいって。来てくれる?」
ユミと談笑していたエドとアルはすぐに立ち上がった。
「ああ、今すぐでいいんだよな?」
「うん。姉さんありがとう」
そういうととエドはすたすたと廊下に出て行った。
「あ、ユミさん、お相手してくれてありがとうございました。」
アルは一度ユミに振り返り御礼を言うとそんな二人の後を追っていった。
「えーと『あけましておめでとうございます』でよかったんだよね?」
アルはたちに追いつくと開口一番にこれを聞いてきた。
「うん。それを言えれば合格だよ。、、、はい、ここだよ。失礼します」
そういうとは引き戸を開けた。その部屋には老夫婦が座っていた。
「『あけましておめでとう。』よく参られたな。歓迎する。座られよ」
いかにもこの屋敷の世帯主と思われる老人が話し掛けてきた。
それは最初は日本語だったがその後はとても流暢な英語だった。
三人はこの老夫婦の前に座り込んだ。
「「『あけましておめでとうございます。』」」
二人はその古めかしい威厳が漂う老人を目の前にして緊張した面持ちでそう答えた。
「『ふむ。日本語もできるのかな?』」
老人は少し驚いたように聞いてきた。
「『ええ、少し。に教わりました。』」
少しだけ日本語の得意なアルの方がこれに答えた。
「『そうか、そうか。』しかし、わしに対しては英語で話し掛けてもらってかまわない。
なにしろ半分イギリス人だからな。そう肩に力を入れないていい。」
「ありがとうございます。」
今度はエドが答えた。
「私は博だ。みなには「じい」とか「じいちゃん」「翁」と呼ばれておる。君らの名前は?」
「エドワード・エルリックです」
「アルフォンス・エルリックです。」
「ではエドにアルだな。それにしても君らも若く見えるがいくつだね?」
「16と15です。」
エドが簡潔に答えると老人は「ほうほう」と答えた。
「わしゃてっきりまた類は友を呼ぶだと」
「『じいちゃん!!!』」
が目を見開いて自分の国の言葉で叫んだ。
「すまん、すまん。そういうつもりはなかったからな。ああ、お前が年より若く見えるだなんて」
「!!!!」
は声にならない声を発した。
「まぁそれはさておき、ほれ三人ともお年玉だ。」
そう言って老人は小さな封筒を三人に順に渡した。
「、、、じいちゃん、、、ぼくの年齢わかっててやってるの?」
は泣いたらいいのか怒ったらいいのかわからないような顔をして聞いた。
「なに。お前さんには12のときまでしかやっておらんからの。だからじゃ。何もわしがボケたとかお前をからかいたいだとかでやったわけじゃないぞ」
そしては曽祖父である老人に頭を撫でられた。
老人は立ち上がるとエドとアルにもそれぞれ頭を撫でてやった。
「ふむ。今年はこの家の子だ。この家で正月を迎えなさい。」
そんな老人に頭を撫でられてこんなことを言われてエルリック兄弟は真っ赤になった。
真っ赤になったお互いの顔を見て目をぱちくりしている。
「じいちゃん!」
が急に叫んだ。
「お年玉、ありがとう!」
それで気づいたかのようにエドとアルも
「「『ありがとうございます』」」
と精一杯の気持ちを込めてお礼を言った。
2004/1/12脱稿
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