「さぁ!どうやってあの工房に入ってきた?つーかどうやってあんな変な現れ方ができるんだ?!」

は叫びに近い問いを発した。そりゃそうだ。

どうして今までその問いを突き詰めなかったのか疑問に思われるほどの疑問だ。

かなり、ずれているぞ。さん。

 

替わって兄弟はというと顔を見合わせた後、エドワードが溜息をつき、話し始めた。

「ひとまず、オレたちが出てきたっていう部屋に連れてってほしいんだけど」

そうしないと詳しいことはわからない。

「やだ。」

即答。

「は、、、?」

これにはエドワードもアルフォンスも目が点になった。

「師弟お約束条項第一条に何人たりとも他人を工房に入れてはいけないとあるから」

、、、、お、お約束条項、、、?

「ちなみに他人に工房の位置を教えることも第26条にふくまれている」

ますます、わからない。

「、、、何なんですか?そのお約束条項って?」

アルフォンスが首をかしげながら聞いた。

「、、、その名のとおりだけど?師匠と弟子のお約束だよ。」

はそう言うと遠い目をしてつぶやいた。

「、、、、ふふふ、でもきっとあの時点でぼくはきっと条項を違反したことになるんだろうな、、、

いくら君たちの不法侵入でも、、、、入れてしまったのはぼくということになっちゃうのかな、、、、」

あぁ、ぼくもっと良い人生送りたかったよ、、、、。

なにか不穏なことを言っている。

二人はどこかで見たことのある、いや感じたことのある雰囲気を醸し出しているを見つめながら

「おーい、どっかにいくな」

と声をかけてみる。

「はっそうだ、まだそうなるとは限らない。んで君たちはなんで現れたの?」

また振り出しに戻る。

「しょーがねぇなぁ、、、、」

エドワードは頭をがしがし掻くと話し始めた。

ある大きな練成実験をして気がついたらこの家のベットに寝かされていたことを。

アルフォンスの人体練成をした、ということは黙っておいた。それは禁忌に関係するからだ。

できるだけそれらしく人体練成のことを隠して語った。賢者の石についても。

「ふ〜ん、、、」

は眉間に皺を寄せ、あごに指をあててうなった。理解しているようにエドワードたちは思った。

「、、、、わからん。もうちょっと説明して。」

、、、、理解していなかった。は顔をにへらと崩して聞いてきた。

 

「だから、」

アルフォンスがもう一度説明をしようとしたがそれはの一言で遮られた。

「それって空間を捻じ曲げるほどの練成なんだろ?

エネルギーがかなり必要になるはずだけどそんなことたった二人でできるの?

今の話じゃどう考えても二人、もしくは少人数で実験を敢行したようだけど。」

エドワードは自分の目の瞳孔が広がるのを感じた。

ヤバイ。この相手は自分が思ったほどバカじゃない。さっきのかいつまんだ説明でそこまで読まれている。

こんなことは久しぶりだ。

軍部の中にも皮をかぶった奴はたくさんいた。

そういう奴等の接し方は結構場数を踏んでいるし慣れていると思っている。

実際自分たちも皮をかぶってばれないようにしてきた。何せ自分たちがやってきたことやろうとしていることは禁忌に関わることだったから。

しかし目の前に座っているのはそれ以上に皮をかぶっている。

自分たちの皮を見破られる可能性が高い。

アルフォンスもそれを感じてかエドワードを見た。

「何か隠してませんか?」

急に敬語で話し掛けてきた。黒い瞳は奥底が見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

2003/11/21脱稿

 

  

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