「これで信じてもらえる?」
エドワードはそういうとにっと笑った。
エドワードの手には小さな木馬がのっていた。
「、、、、、、え、う、嘘?」
はあんぐりと口を開けていた。目をまん丸にしていたかと思うと次の瞬間溜息をついた。
「はぁ、とうとうぼくは人の幻影まで見るようになってしまった、、、こりゃ精神科に行けと言う最後通告なのか」
目を覆うとへたりと床に座り込んだ。
「おいおい、こちとらお前の幻影でもなんでもないぞ」
エドワードはそんなショックを受けているに声をかける。
「あぁ、幻聴だ幻聴だ。いくら錬金術師が少ないからって幻で見るなんて」
頭に指をあてて、ぼそぼそとそう言うとは部屋から出て行こうとする。
「ちょっと待って!お願いだから」
それをアルフォンスが必死に引き止める。
ぐー
唐突に誰かのお腹の音がした。
「、、、、、そうだ、メシ」
はそう言うと今度こそ部屋から出て行った。
「何なんだ、、、、あいつ」
エドワードはつぶやいた。
その後、はひょこりと顔をだした。
「、、、、、、、」
『やっぱりいる、、、、』
はそう思いながらもう一度彼らを見た。
が顔を見せたのに気づいてアルフォンスが手を振った。
「、、、、、腹、減ってる?」
は恐る恐る聞いた。
「今からぼく、ごはん食べるけど、、、、食べる?」
兄弟は首を縦にふった。それを見たは彼らに向かって手招きをした。
「こんな物しかないけど」
と言ってはパンと牛乳、そしてインスタントのスープを出した。
「いただきます」
ぱんっと手を合わせると食べ物を拝むようにしてからはパンを食べ始めた。
それをみて兄弟は1回顔を合わせると同じように食べ始めた。
黙々と三人は食べていく。
アルフォンスは感情深げに食べていた。久しぶりの食べ物だ。口の中に何かを入れると言う行為自体が懐かしい。
好きだった牛乳を飲んで思った。
『あれ?こんな味だったっけ?』
「ところで二人はなんて言うの?」
は物を食う幻なんてないと観念したのか二人に聞いた。
「、、、オレはエドワード・エルリック」
エドワードもメシをもらったこともあるので先ほどのことは水に流すつもりらしい。
「僕はアルフォンス・エルリック」
「エドワードのほうがお兄ちゃん?」
は先ほどからの観察からそう聞いてみた。
そうするとエドワードがすごい眩しいほどの笑顔を浮かべた。
「見ろ!アル、お前が元の体に戻ったとたん、オレが兄だってすぐにわかったぞ!」
目を生き生きさせながらエドワードは弟に熱弁していた。
そんな兄を横にアルフォンスはを見て言った。
「あの、さっき名前聞いたけど、、、、」
その次の言葉を察したはすぐに言った。
「、。が苗字でが名前」
「・?変わってるね。苗字が先なの?」
「いや、どちらかと言うと君たちのほうが変わっていると思うよ」
そういうとは立ち上がって食器類を片付けた。それからおもむろに振り返るとは冷たい目で兄弟を見た。
「我らが兄弟の誼で食べ物をあげたけど、本当のところ君たちはなんの目的でここに来た?」
「我らが、、、、兄弟?」
エドワードは顔を傾けながら聞いた。
「言っとくけど君たち不法侵入者だからね。」
質問は許されていないよ、と釘をさす。
「、、、でもその前にこれだけは教えろ、お前も錬金術師なのか?」
「そうだって言ってるだろ。半人前だけど」
「半人前?」
「うるさい。」
苦虫を噛み潰したような顔をしては切り捨てた。
「言っておくがここはぼくのエリアだ。君たちがどれほどの術者かは知らないけどそれだけ不利だってことわかってるよね。どこにどんな錬成陣が内側に彫られてるかわからないよ」
「「、、、、、、」」
かなりの念の入った脅しである。
「さぁ!どうやってあの工房に入ってきた?つーかどうやってあんな変な現れ方ができるんだ?!」
2003/11/13脱稿
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