「、、、、、」

『ぼくは確か一人で片付けをしていたはずだ。、、、なんで目の前に二人、人が倒れているんだろう、、、?』

は困惑していた。そりゃぁ何も無いところから人が現れてしかも倒れていたら困惑もするだろう。

 

倒れている人は少年といってもよかった。

一人は金髪で三つ網をした男の子でもう一人はこちらも金髪で髪は長くない。

三つ網少年は赤いコートに黒尽くめ、もう一人の方は全裸だった。

 

「ふう、レポートで根詰めてたからな、疲れてんだ。」

そういうと彼は自分の顔を思いっきり両の手で叩いた。

しかし彼が考えていたほど現実は甘くないし、そして変わることも無い。

 

「まずこちらの子に服、着せてあげなくちゃ」

彼はまるでここ何日か寝ていないような、疲れた顔をして工房から出て行った。

 

 

 

「う、、、ん、ここ、は、、、?」

アルフォンスは見たこともない部屋で目を覚ました。

『誰もいない。兄さんはどこ、、、?』

そう思い、アルフォンスはだるい体を起こした。そして自分が今、着心地のいい服をきていることに気づいた。、、、、そう着心地がいい。

『体がある!』

アルフォンスは驚いた。もう何年も体が無い状態で生活をしてきた。ただ視覚のみの、魂の存在で。

「にい、さん、、、」

声が自分の口から、自分の声帯を震わせて出てくる。

「にいさん、、、」

自分の声が自分の鼓膜を打つ。

「、、、、うっう」

涙が出てくる。自分の目から涙腺から。とめどなく。それを自分の指で触ってみた。濡れた感覚がする。

アルフォンスは涙を服で乱暴にぬぐった。目元がひりひりする。

「、、、兄さんはどこだろう、、、。」

アルフォンスは立ち上がって部屋を見回した。見たことはない。

『、、まさか、、、!!』

アルフォンスは嫌な考えが頭に浮かんだ。自分の体は元に戻った。だがその所為で自分の兄にリバウンドがきたのではないかという。

それでは意味がない。今までしてきた旅の意味が。

アルフォンスは気を奮い立たせて部屋からでた。

とにかく兄の姿を探そうと。

 

だが呆気なくかれの捜索は終わった。なぜなら彼の兄は隣の部屋ですーぴかと腹をだして寝ていたからである。

 

「兄さん、、、兄さん?、、、生きてる?」

アルフォンスは自分の兄の上に掛かっていた布をめくってみた。

「よかった、、、減ってない、、、」

そういうとアルフォンスは兄にもう一度布をかぶせて兄の手を握った。鋼の手。自分は一度も触ったことがなかったもの。

「、、、、よかった、、、よかったー」

また涙がにじんでくる。

『なんかこの体になってから涙がいっぱい出てくる、、、。ぼくってこんなに泣き虫だったっけ』

そんなことを考えながらアルフォンスは自分の兄の顔をしげしげ覗き込んだ。

そこにいたのはもうすぐ青年に達する兄の寝顔だった。あの時からもう何年も経っていることがそこから読み取れる。

「次は兄さんの番だから、、、」

彼はそういうと兄の頭を撫でた。昔お互いで撫であっこしあった時のように。

 

 

「くぅう、、、アル、今、、、何時?」

そういうとエドワードは起き上がった。まだ目を開けきっていない。自分の実の手の方で目をこすりながら弟にそう問うた。

「おはよう。兄さん」

弟の声がすぐ横から聞こえてきた。

『今日はやけに優しい声だな、、、』

エドワードはそう思った。いつもなら

「もう、兄さんは遅いんだから。昨日も夜遅くまで本読んでるから、、、」

と小言を言ってくるのに。今日は小言がない。それになんだか声の音自体がなんだか違うような。

彼は自分の弟の声がしたほうへ顔を向けた。そこにいたのは。

「アル!体、、、あ!」

エドワードは少し混乱した。一瞬彼は自分が夢を見ているのだろうと思った。

そしてその後、すぐに自分たちが賢者の石を手に入れて人体練成を行ったことに気が付いた。

涙が出てきた。穏やかな顔をしている弟が目の前に立っている。

 

「兄さん、、、、、」

そう言って弟は兄に両手を広げた。兄も両手を広げ弟を抱きしめた。

『やわらかい。』お互いにそう感じた。

今まで触れることもできなかった。

今まで触れてもわからなかった。

今まで触れても堅かった。

お互いの血のめぐりを確認することさえできなかった。

それが今、やっとなされた。

 

二人はお互い抱きしめあったまま涙を流していた。

いや離れられなかったというのが正しいかもしれない。

涙を見られたくなかったから。

涙を見たくなかったから。

笑顔を見たかったから。

 

 

最初に泣き止んだのはアルフォンスのほうだった。

「さぁ兄さんもうベットから出て。もう日も高くなってきてる。」

そう彼はいうと自分の兄を引っ張った。

「お、おう」

エドワードはアルフォンスに引っ張り上げられるようにして立ち上がった。

「、、、、、、、、、、」

「あ、」

アルフォンスは困った。正直に。兄と目線が同じだった。いや少し自分の方が上だった。

『やばい、やばい、やばい、兄さんが暴れだす!!!』

「てんめ〜って野郎は!!!」

「ごめん兄さん、これは意図してやった訳じゃないから、暴れないで!ね。もう少し大人にならなきゃ、」

アルフォンスはエドワードにそう慌てて畳み込んだ。

エドワードは年の割に背が小さかった。それが彼のコンプレックスでもあった。

そんな兄だ。弟の自分に身長を抜かされるのは屈辱だろう。

しかもこの体は新しく作ったものだ。小さくも作れるのだ。なのに、大きい。

「ぐうう!今回はこれでいい!」

そうエドワードはうなりながら弟のお腹に拳を入れた。

「、、、、ありがとう、兄さん」

アルフォンスは言った。お腹は全然痛くはなかった。

 

「ところでアル、ここどこだ?見覚えがないんだが?」

「兄さんも?」

アルは首を傾げた。

「実はぼくも無いんだよねって兄さんが運んでくれた訳じゃないの?」

「は?アルがオレを運んでくれたんじゃないの?」

お互いがお互いに相手がやってくれたものと二人は考えていたので悩んだ。

「、、、、誘拐だったりして。」

アルフォンスはボソリと可能性を述べた。

「待て待て、大体において俺たちを誘拐してどうするんだ?」

エドワードはもっともらしいこと言う。たしかに身寄りのない二人だ。誘拐しても何の得にもならないだろう。

「でもなかったことでは無いじゃない。兄さん」

「うーん、、、軍部絡みか?」

過去の軍部とテロリストの抗争に巻き込まれて誘拐されたことをエドワードは脳裏に浮かばせた。

 

その頃、はかなり現実逃避気味にレポートを必死こいてやっていた。

 

  

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送