「こんちわー!エドワードくんにアルフォンスくんいるー?」
今日は快晴。お出かけには良い日だとはうきうきしてやって来た。
『昨日は悪いことしちゃったなぁ、、、、エドワード怪我してなきゃいいけど。』
そんなことを考えながらは台所をまず見る。
「おお!!」
そして驚いた。綺麗だ。今までに無いほど綺麗だった。
今まで彼の兄弟子であり師匠であり友人であり(親戚であった)この家の主人は台所を洗ったことはない。
食器を洗えばいいほうだ。それでも食器を洗わずに放置することの方がかなり多い。
結局、じゃんけんで勝ったとしてもそれは次の日に持ち越されるだけである。
次の日にが来たら結局自分が洗うことになる。が来なければそのままか、気が向いたら片付けるだけだ。
しかし今日は違った。ちゃんと流しも洗われている。生ごみもちゃんと処分されている。
「すげー」
は頬をほころばせた。きっとあの兄弟の弟君が本当にやってくれたに違いない。
も弟君が聞いてくるものだから一緒にやったに違いない。
さすがに彼にもお客に自分の家のことをやらせるのは気が引けるだろう。
何よりアルフォンスがやっているのに自分がやらないのでは面目がたたないだろう。
だるそうに食器を片付けるの姿を想像してはにやにやと一人笑いをしていた。
そういえば今朝のからの電話、不機嫌そうだったなぁ、、、。
そうだよな、急に他人が自分の家に入り込んできたんだからストレス溜まるよな、、、。
ぼくなんて、かなり緊張しててレポートしあげちゃったし。
今日、ここに来る前に大学に出してきたらみんな驚いてたよ。こんな速く結果をまとめてくるなんて誰も思ってなかったみたいだ。
そりゃそうだ。ぼくだってあと一週間はかかると踏んでいたもの。
それにはこの馬鹿でかい家に一人で住んでたからなぁ、、、。
あの人、武術得意で人の気配がわかるからとってもストレスが溜まったに違いない。
そう思うと昨日の食器の片付けぐらいやってあげてもよかったかな、、、とも思うが急に家を空けてきたから心配だった。
とくに洗濯物。あの兄弟が来た夜は嵐だった。
あいにくその日は洗濯物を外に干していたのだ。その洗濯物がかなり心配だった。
ちなみに帰ってみると案の定、洗濯物はぐちゃぐちゃのしわしわになっていた。
しかも何枚かシャツが飛ばされたらしい、無くなっている。
それを考えると急に不条理な留守番を申し付けたが恨めしい。
なのでこのことはドローだな、は考えた。
「さて、エルリック兄弟はどこだー?おーい!」
はそう呼んで家の中を徘徊する。洗濯場に通りかかると洗いっぱなしになったエドワードの赤いコートが入っていた。
それを持ってきれいにしわにならないようにぱんっと叩いてからハンガーに掛けて持つ。
その湿ったコートを持ちながら移動する。
「エドワード!それともエドワルドだっけ?アルフォンスくん?」
既に昨日、自己紹介したというのにぼんやりと名前に自信が持てなくなり眉間にしわを寄せながら歩く。
「エドワードだっての!」
答えがあった。さすがに自分の名前が間違えられて怒っているらしい。怒鳴り声だ。
「こんにちわ、」
アルフォンスが廊下に顔を出した。
「あ、よかった。いた。まさかおはよう?」
はあてがわれた部屋にいたらしいアルフォンスを見て首を傾げて言う。
「だめだよ。こんな天気の良い日に部屋に篭ってるなんて。」
「うん、でもなんだかうろちょろするのはちょっと気が引けて」
アルフォンスはそういうと頭を掻いた。
「まぁ、たしかに家の主がいないのにうろちょろも何もないよね。」
とも納得する。そう今日はこの家の主は朝から出かける予定があったのだ。
正確には昨日も帰ってこないであと10日後に帰宅する予定だったが時間が取れたのと家に資料を忘れたのを思い出し一時帰宅してきたのだった。
そのため彼は今日の朝一番で学会の論文発表へ向かった。
今朝のからの電話は彼のいない間のエルリック兄弟の身の回りの世話兼留守番の依頼だった。
「それでエドワードは?」
まだ姿を見せていないエドワードを不信に思いはアルフォンスに問い掛けてみる。
「さっき起きたばっかなんです、、、。」
まるで自分のことのように申し訳なさそうな顔をするアルフォンス。
「アルフォンスがそんな顔する必要ないよ?でもどうして?もしかしてあのアッパーが、、、」
はまさか昨日彼にしたアッパーが致命的な一撃となり起き上がれないのではと少し本気で考えてみる。
「アッパー?何のことですか?昨日、ウィルさんになんか図書室みせてもらって本を何冊か借りていたから夜更かしして読んでたんだと思います。」
アルフォンスがそれとなく理由を述べてみる。
「ふーん、、、でも夜更かしは身長伸びないよ?」
「誰が豆ちびだーーー!!!」
そう叫び声が聞こえたと思うとその発生源が飛び出してきた。
「兄さん、、、、。着替えぐらいしてきなよ、、、、。」
エドワードはタンクトップにショートパンツ姿で出てきた。
「うわー!」
その姿を見ては奇声をあげた。
「な、なんだよ、、、。」
思わず怯むエドワード。昨日のことがある。今日何が起こってもおかしくない。
「その腕と足、何?」
は珍しいものを見た子どものような顔をしてエドワードの腕を掴んだ。
「おっもしれー、何これ義手?」
は興味しんしんでエドワードに聞く。
「あ、これか、そう義手。オートメイルっていうんだ。」
「へー、オートメイルかぁ、、、かっこいいな。どういう仕組み?指は動いてたよね?ということは神経が通ってるの?」
はガションガションとエドワードの腕を動かしながら質問する。
「ああ、ここではこういうのないのか?」
エドワードも気になって聞いてみる。
「うん、あまりないね。どちらかというと移植とか培養とかしちゃうからね。今は。」
少し昔はそういう技術も開発しようと考えてたらしいけど。
はじげしげと眺めながらそう言った。
「そんなに珍しいのか?この腕」
エドワードは少し気分を害したような顔で聞いた。もうそろそろ頭が動き出してきたものだから着替えたく感じ始めていた。
「珍しいよ。こんな剥き出しに金属部分を露出させるなんて。」
そういうと一通り見終えたはやっとエドワードの腕を解放した。
「それはそうと『おそよう』、エドワードくん」
「なんだよ、『おそよう』って」
エドワードが怪訝な顔で聞く。
「もう『オハヨウ』とは言わないんだよ日本語では。ほら出かけるから着替えた着替えた!」
2003/12/11脱稿
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