「すみません、マスター。ここらへんで錬金術師を雇ってくれる人ってしりません?」
僕は人のよさそうな顔をしたマスターにジュースを頼むとそう聞いた。
「へぇ、君、錬金術師なのかい?それともお師匠さんの?」
「いえ、僕が錬金術師ですよ。旅をしてるんですがねちょっと旅費が寂しくなってきたのでここらで一稼ぎさせていただきたいなぁと思いまして。」
僕は正直にそう答えた。
早急にお金が欲しかったからだ。
錬金術師でのバイトをするといろんな意味で居場所がばれて困る。
その場では感謝されるもののいろんな人に追われる羽目になる。
だから、僕はあまり錬金術で金稼ぎはしたくない。
でも早急に必要なんだ。
『彼ら』のその後がわかったから。
僕と彼らの交わる道
「えーと、、、ここかぁ、、、国家錬金術師のノートンさんちは。」
僕は地図を片手に大きな家の前に立っていた。
そして苦々しい思いをした。
「よりによって国家錬金術師の助手とは、、、すっげー危険な橋だなぁ、、、。」
まず名前から考えて僕の生地はラッシュバレーで行こう。
ぶつぶつと考え事をしているとノートンさんの家の扉が開いた。
「っち、もうやけっぱちだ」
そう言って注意深く見た先にいたのは大きな鎧と小さな赤いコートを着ている少年。
その少年のコートに入っている刻印があまりにも酷似していて。
僕は思わず身を潜めた。
「ノートンさん、資料ありがとうございました。」
エドはにこやかにそう告げた。
「いえいえ。マスタング大佐からの紹介ですからね。それに期待に答えられなくて残念だよ。」
「いいえ。しっかりと勉強させていただきました」
鎧姿のアルが言った。
「そうかい。ありがとう。では、旅の無事を祈ってるよ。」
ノートンさんはそう言うとパタリとドアをしめた。
「きーーー!大佐の紹介ってなんだよ。あんなくそ大佐〜」
「兄さん、落ち着いて、落ち着いて。せっかく、大佐が紹介してくれたんだから、、、。」
アルはがるるるとうなっているエドをなだめる。
「それだって本当はノートンさんがちゃんと研究してるかみにいかせるためだろ!」
そう言いながら、エドはがらん、と門の扉を開く。
「ずいぶん威勢がよくなったな。エド」
門のすぐ横の壁に寄りかかるようにして一人の男が立っていた。
2004/2/19脱稿
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