「よーう!エルリック兄弟!!!」
遠くから聞き覚えのある声が聞こえた。
そんな気がすることにしたい。
二人はそう思ったに違いない。
再会と旅立ち
「逃がさないぜ!」
声の主は超高速で走ってきた。
「に、兄さん!どうしよう!」
「どうしようも、、、逃げようにもお前がでかくてすぐ標的になっちまう」
兄であるエドワードは眉間に皺を寄せながらそう言った。ため息をつきながら。
でもどこか嬉しそうに。
「ひどっ好きでこんな体になったんじゃないやい!そうだよね。兄さんは小さいからいいよね。こういう時」
アルフォンスは傷つきながらも兄に応酬した。でも声は弾んでいる。
「だれが小さいだとこんのでかぶつアル!」
そんな喚きあいをしている間に先ほどから追いかけてきていた人物に追いつかれつかまったのはいうまでもない。
「それにしてもお前ら変わらねーなー」
二人を無理矢理近くのカフェに連れ込んだはにこにことしながら向かい合って座っている兄弟を見比べた。
「そういうは、、、、、、。」
エドはの格好をみて言葉を続けられなかった。
その代わりに言葉をつむいだのは弟のアルだった。
「背が伸びましたね。この前は兄さんとどっこいどっこいだったのに。」
「誰が万年ちびだと!」
エドがちゃぶ台返しのごとく、テーブルを返した。
それを予想してアルはエドの前にある飲み物をは自分の飲み物を持ち上げていた。
「うん。行動も変わらない。」
にこにこと笑うこの男との出会いはさかのぼること10年前。
「それにしても、二人ともさ、どうして逃げるわけ?せっかくの幼馴染なのにさ!」
こいつはリゼンブールに引っ越してきた。
当時、エド5歳。アル4歳。
の登場は鮮烈だった。
二人がウィンリィのところへ遊びに行くところで奴は通りかかったのだ。
ものすごい勢いで走りながら。
そして。
「「「うぎゃあ!」」」
衝突した。というよりに二人が弾かれたというか。
「いったった〜」
「何すんだよ!」
アルとエドがそれぞれ声に出す。
「ごめん!ちょっと逃げてて。」
相手は後ろを振り返り誰も追ってきてないことを確認すると兄弟に振り返って笑顔を向けて手を差し出した。
「ごめんね。大丈夫?」
二人はしばらくそのぶつかってきた相手の笑顔に見入ってしまった。
これがとエルリック兄弟の出会いだった。
「それにしても、の足の速さは変わらないね〜。」
アルは話題を変えた。
「これしかとりえねーしな。俺。」
にししと笑うその顔は昔のままだとエルリック兄弟は思った。
うれしかった。
「そんなことないよ!錬金術にだって造詣が深いじゃない」
「そうだぜ。まぁ、オレたちより劣るけど」
エドは自分たちより劣るけどを強調して言ってやったが。
「あぁ、あれ。あれね、俺やめた。」
きわめて考えられない言葉が返ってきた。
「「は?」」
エドは口をあんぐりと開け、きっとアルも生身ならそうなっていただろう。
「俺、今錬金術できないんだ。」
そういいながらは寂しげに笑った。
「大病を患ってさ、それ以来お前らの師匠さんが言う力の循環がおかしくなったみたいで。
何度錬成陣描いて錬成してみようとしてもできないんだ」
あんなに簡単にできたのにな。ぽつりと呟く。
「だから今は知識だけの頭でっかちさ」
そう言って肩をすくめてみせた。
そして笑って見せた。でもそれはさっきの笑顔とは違い翳りのある笑顔だった。
二人の好きだった、あの笑顔ではなかった。
「なぁ、アル。寂しそうだったな。」
「うん。」
その夜、兄弟とは同じ宿に泊まった。
「オレたちのいない間に何があったんだろうな。」
「うん。」
エドたちが禁忌を犯した時に一番に叱りにきたのはで、一番喚いて泣いたのはで。
そしてエドがオートメイルをつけることにして、リハビリするときに笑顔で励ましてくれたのもで。
ウィンリィと共に、しかし笑顔で、二人の好きな笑顔で送り出してくれたのはで。
そんながいつのまにか自分たちの知らないを作り出していた。
それがたまらなかった。
「ねぇ、兄さん。は治らないのかな。」
アルが搾り出すように声を出す。
「が言ってたとおり医者に言わせれば体の機能は治ってるんだ。
……でも錬金術を使うバランスが悪いままなんだ。」
そう言うとエドは顔を上げた。その目は輝いていて、アルはその目を見たとき兄が何を考えているのか悟った。
「おはよう!」
アルが快活にに挨拶した。
「はよ、、、早いね。」
寝ぼけ眼では食堂に荷物を持って現れた。
「お前がおせーんだよ!」
「っエドがいる!今日は雨?」
が外を本気で眺めるのでアルはくすくすと笑った。
「っなんだよ!その言い方は。ところで。そこに座れ。」
エドは自分の席の前にを座らせた。
「?なんだ?」
ほんきで疑いの目ではエドとアルを見始めた。
「オレたちと旅をしないか?」
「へ?」
は素っ頓狂な声をあげた。
「オレたちと旅をしないか?」
エドはまた繰り返した。その言葉を出すのがよほど恥ずかしいのだろう、顔を真っ赤にしている。
「な、なんでまた。」
はことの次第に戸惑いの声をあげた。
「の病気を治せるかもしれないから。」
アルがエドの代わりに言った。
「僕たちは取り戻すために旅をしている。だからも取り戻すために僕たちと一緒に旅をしない?」
アルは言い切った。
「一晩、考えたんだ。オレたちが求めてるものでお前の能力も取り戻せるかもしれないって。」
エドは必死に目で縋った。
昨日のような翳りのある笑顔なんて見たくない。
昔のような笑顔を見たい。
「……」
しばらくは黙っていた。その沈黙が二人には重かった。
「っぷ」
だがその沈黙ものこの発音から始まった笑いに飲まれた。
「な、何がおかしいんだよ!」
エドはそれはもう赤くなりようがないくらい真っ赤になりながらに聞いた。
「だって!そんな瞳で見られたやだって言えないよ!それにアルも!!そんな伺うような気配でいられるとくすぐったい!」
その言葉を聞いてエドは逆上しそうになったがアルはすぐさま言った。
「じゃあ、一緒に来てくれるの!」
「イエス!よろしくな!エド、アル!」
その時のの笑顔は二人の最初に見た、好きになった笑顔だった。
2004/2/23脱稿
To武藤頼さま From夢見由宇
武藤さんのサイト「自分勝手」と相互記念の夢小説です。
武藤さん、これでよろしいでしょうか?
、、、、なんか画面を通して武藤さんの苦笑が聞こえる、、、。
ご、ごめんなさい。何かの連載の最初みたいだ。
本当に駄作になってしまいました。
ちなみになぜ最初、からエドたちは逃げてるかというとちょっと恥ずかしいからです。
照れ隠しです。
それからに追いかけてもらうのが好きなのです、この二人。
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