「アル、、、、、」
私は冷たくなったその手を握り締めていた。
冷たくて、冷たくて。
あぁ、これが、これが。
アルフォンス。
アルフォンス・ハイデリヒ。
私の。
たった一人の。
弟。
肉親。










、、、、」
後ろから声が聞こえる。
「、、、エドワード?」
でも、私は振り返ることができない。
だってひどい顔をしているの、自分でもよくわかっているから。
そんな顔、彼には見せたくない。
、、、オレ、、、」

言わないで。


言わないで。





「エドワードのせいじゃ、ないよ。」
私は知っているから。

弟の命の灯火が消えようとしていたことも。
それでもなお、弟が何を望んだかを知っているから。
「でも!」
私は弟の寝ているベットの向こうにある窓から青い、青い空を見上げた。
あぁ、あの青はアルの瞳の色。
アルの色。


「アルはね、肺がんだったのよ」
多分、あなたには言ってなかっただろうけど。
「アル自身もそれは知ってたわ」
私はすっと立ち上がり、アルから手を離して窓に歩み寄った。
そして窓を開けた。
窓からは風が流れ込んできた。
部屋は一段と寒くなる。
エドワードが身じろぎしたのが彼の義手がキシッとなることでわかった。
窓の桟に両腕をついて私は空を見上げる。
こうしていると、まるでアルに近づけるようなそんな気がしたから。
もっと、もっと。
アル、アルフォンス。








「後悔なんかしない」
「あ、でも姉さんのウエディング姿、見れないのは少し心残りかなぁ、、、。」
「、、、ねぇ、姉さん。エドワードさんと結婚してくれない?」
この言葉はとっても驚いたっけ。
「それでね僕にエドワードさんのこと、兄さんって呼ばせて」
「僕ね、本当は兄さんが欲しくて欲しくてたまらなかったんだ。」
「そこにエドワードさんが現われて、、、」
「僕ね、この人だ!って思ったんだ」
「姉さん、僕ね小さい頃から夢を見てたんだ。」
「僕はがらんどうの鎧で、兄さんと旅をしている」
「兄さんは腕と足が義手で、、、僕は兄さんのその手足を元に戻したくて、兄さんは僕の体を元に戻したくて旅をしているんだ」
「、、、姉さん、笑うかもしれないけどその『兄さん』がエドワードさんなんだ」
「、、、そんなに笑わないでよ。僕も非科学的だとは思うよ」
「でもね、、、今も感じるんだ。もう一人の僕はエドワードさんを、兄さんを探しているって。」
「だからね。もしもエドワードさんがロケットで彼の言う世界に帰れるのなら、、、僕はその手伝いをしたいんだ。」
「、、、確かにロケットに関しては僕の興味と兼ねてるけど」
アルの、笑顔。
「夢で出逢った兄さんに、そして僕の大切なともだちのエドワードさんに何か、遺したいんだ」
「だから、、、」
「姉さん、姉さんよりはやく逝く僕のこと、許して」











!」
気づいたときには私はエドワードに後ろから抱きしめられて窓から離されてた。
多分、アルのことを思い出しててぼうっとしてしまっていたのだろう。
!危ないだろ!!!」
エドワードは血相を変えて叫んでいる。
、、、きっとアルの後追いを危惧してるんだろうな。
そう想うとなんだか笑えてくる。
クスクスと笑い出すとエドワードが怪訝な顔をした。
「な、なんだよ!オレは心配して、、、!」
「エドワード、大丈夫よ。私は。」
真っ赤な顔をしているエドワードに私はなおも笑いながら話しかける。
「余程、あなたの方が心配なほどよ」
そういわれてエドワードは目を見開いた。
あぁ、彼は気づいていなかったのか。
自分がどのような顔をしているのかを。
どんなに傷ついているのかを。
そういえばアルが言っていたっけ。
エドワードは自分のことになるとほとんど無頓着になるって。
それなのに他人のことはよく気づく。
アルは本当にエドワードのこと、よく見てたんだなぁ、、、。
それだけ、エドワードのこと、大好きだったんだ。
私は今、そんなことがわかってなんだか不思議な気がした。
アルは、もういないのに。
でもアルは確かに私やそして、、、。
「エドワードこそ、そんな顔、しないの」
私はエドワードの頭をワシャワシャと撫でてやった。
彼のポニーテールがぐしゃぐしゃになるように。
「あ!!!!」
エドワードはそれに気づいてむっとした顔で私のことをみた。
うん、こんな顔がいい。
確か、エドワードとアルがロケットについて口論していたときエドワードはこんな顔をしていて、アルはそんなエドワードの表情を見てすごく嬉しそうだった。
けして、あんな顔はアルは望んでいたんじゃない。
「それに、エドワードは弟と再会できたんでしょ?」
もっと喜んでよ。
「、、、、、」
あ、これは禁句だったのね。
「、、、エドワード、そんなことじゃこっちに来た弟さんがかわいそうよ」
さっき、チラッと見た(本当にほんの少しだった)人影。
あれはきっとこのエドワードの弟だろう。
だって、とっても似ていたもの。
アルに。アルフォンス・ハイデリヒに。
彼、エドワードの弟の方が小さいけど。
確かにそっくりだった。
その彼を必死に隠そうとしているエドワードとノーアの姿を見ればなんとなくわかる。
それにエドワードは知らないけど私はアルからエドワードの話す世界をなんとなく聞かされていた。
しかしエドワードにはそんなこと、全然知らなかったのだろう。
かなり驚いた顔をしている。
「、、、、、、?」
そして戸惑っている。
「せっかく、また会うことができたのにそんな頼りないお兄ちゃんじゃ愛想つかれちゃうわよ」
そういうとエドワードのほっぺを軽く抓ってやった。
「本当、弟ってすぐ成長しちゃって追いてっちゃうんだから」
私はまた、アルを見た。
あぁ、アルは私を追い越して逝ってしまった。
「エドワードもちゃんと前を見て、お兄ちゃん、やってないといつの間にか、、、追い越されちゃうだから。」
そう、言ってて自然と涙が流れ落ちた。
あぁ、エドワードに見せたくなかったのにな。



















2005/8/6脱稿



なんじゃこりゃー!
設定はアルフォンス・ハイデリヒの姉。
アルフォンスはエドワードを兄さんと呼びたかったらしい。
でも、だからといってアルフォンス・エルリックになりたいわけではない。
うーん、どうしたものか?と考えて無邪気にそうだ!姉さんがいる!!!
と考えたそうな。
、、、、、、、、(涙)
いや、結構、そういう考えを持つ子っているのよ
多分。
そう、それはまるで母さん、お父さん欲しいから結婚してと似ている胸中。
姉さんの意向は無視されてます。
姉さん、その頃まだエドワードさんとファーストコンタクトさえとってません(爆)
、、、、、、。
ちょっとシリーズ化すると想われます。
読んでくれる人、いるかしら。

夢見由宇

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