冷たい機械鎧の手と温かい手と

 

 

 

 

 

それは冬のある日の帰り道。

 

 

 

 

「エドー手、つなごー!」

は突如、こんな言葉を吐いた。

「は?」

エドは眉間にしわを寄せる。

「だめだよー!眉間に皺寄せちゃぁ、、、幸せが逃げてくぜ?」

そういうとエドの眉間に寄った皺を伸ばすように指で引っ張る。

「やめろー!」

それをエドは振り切る。

「むう、ま、いっか。エドの幸せなんかオレの知っちゃこっちゃねぇ」

「なにー!」

「それより、手だせ。手」

は左手をぶんぶん振りながらとにかく主張を続ける。

あっけらかんとした表情のを見て脱力したエドはこいつと口でやりあうのは不毛だという事実を思い出してしぶしぶ腕をだす。

「違うよ!右手!!」

左手をぶんぶんと今度は振り回しながらはエドの右手を要求する。

「へ?どっちでもいいだろ、んなもん。それに寒いから手つなごうなんていいだしたんだろ?」

エドは自分の出した左腕を見た。生身の腕だ。そして右手を少し動かしてみる。するとそこからはきしっと金属のこすれる音がする。

今は冬だ。こちらの腕はさぞかし冷たくなっているだろう。

「いいや!そっちの腕がいいの!!」

ぐだぐだ文句言わずにそっちの腕出しやがれこんにゃろう!

はそう言い終わるか終わる前にエドの金属の腕を取った。

そして勝手に手をつなぐとエドを引っ張り歩き出した。

「なんだよ!急に、、、、、、、。そっちの手、冷たいだろ?」

エドは引っ張られながら問う。

「この冷たさがいいんだよー。オレ体温高いからさー」

そういうとはエドの義手を握り締める。にししと笑いつつ彼は満足げにエドと並んで歩いている。

「、、、、、、お前、熱でもあったのか?今日。」

エドは急に足を止めて、心配そうにそして半ば呆れながらに問うた。

「、、、、、、エド。お前さーもう少しさ、本ばっかり読んでないで人生を勉強しろよ。それに今日オレ具合悪そうにしてた?つーかそんなことも解らないほどオレを見てなかったのか、、、、」

はことさら不機嫌な顔になってエドを見た。

「オレが言いたいことはそう言うことじゃなくて、なんだー。こっちの手が寒いだろ?オレの余計な体温をやろうと思って」

エドはそれを聞くとぽかんとした顔をした。その顔を見てはしたり顔をした。

「なんだよ、その顔。おっかしーなぁ。それに少しでもエドの優しさがわけてもらえるかなと期待したんだよ。」

はそう言うとゆっくりと歩を進め始める。それに従いエドもゆっくりと歩き出す。

「ほら、手が冷たいと心が優しいってよく言うだろ?でもオレすっげー平均体温が高くてさ、なんつーの冷たい手っていうのに一種のあこがれを抱いてるんだよね」

少しだけ照れたような顔をして語るを見てエドは体の奥からすごく温かいものが溢れてくるのを感じた。

なんだかそう言ってくれるその相手がすごく愛しく感じた。

「なんだよ、じゃあ、オレにその有り余った体温を押し付けようとしたのかよ?」

エドは茶化すように言う。先ほど感じた思いが相手に触れられてしまう前に隠そうとして。

「おう!そのつもり。その代わりオレはお前の優しさをもらうぜ!これでお前お得意の『等価交換』だ。」

はそう言うと太陽みたいな笑顔を浮かべた。

エドはその笑顔が眩しかった。

自分はそんなに優しくないのに。先ほどの感じた温かいや愛しさをに伝えることもなく自分の中に隠してしまった。

誰にもそれを与えたくなくて。それが与えてくれたであったとしても。

全然『等価交換』になってやしない。そう考えると自分がのその笑顔を見ているのに罪悪感を覚える。

だがそれ以上にエドはその暖かさに飢えていた。のその笑顔から顔を背けることはできなかった。

そしてそのあたたかさの中で幸せを感じてエドもにつられて笑った。

 

 

 

 

そんなことを感じているエドは知らない。もエドの無意識で右手ではなく左手を出してくれたことに対して嬉しく思ったことを。

そんな些細なことでもの中にも暖かいものが溢れ、そして愛しく思ったことを。

そして何よりエドの笑顔が見れて幸せな気分になれたことを。

だが一方でもそんな幸せを感じたくて手をつないだ自分の身勝手さに罪悪感を覚えていることも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人とも互いに与えられているだけで自分は相手に何も与えていないと思っている。『等価交換』になっていないと。

だがそれよりももっとすごいこと。互いが互いに幸せを増長させていることを二人はまだ気づいていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2003/12/10脱稿

 

、、、なんだよこれ。自分。壊れたか?とうとう壊れたのか???

ちなみにこれ、性別不詳。男同士っぽいし、女っぽいところもある、、、。

一応一人称はオレになってるけど。でも当初はめっちゃ女の子で書くのつもりでした、、、。見事玉砕。ここで既に文章練成士として終わってる、、、、。

もっとこうラブラブなお話しを練成しようと考えていたのに、、、、。腕絡めたりとか、こうもっとなんかあっただろ自分!なぁ!

エドの頭を撫でてみるとか。うーん、うーん、うーん。

ニュートラルに考えてください。つーか、これも友情だ!!!もう友情でいい!!!友情です!<言い切ったよ、、、この人。

男の子って一時彼女よりも女の子よりも友達が一番大事っていう時期があるらしい。それだと思う。

 

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