「修行ー!」
「修行ー!」
エルリック兄弟は汽車に乗ってからも上機嫌だった。特に兄のエドワードの方は。
「それにしても、なんで言ってくれなかったんだよ?も行くって」
『いや正直に言えば君たちも行く、、、だけど』
とは思いつつ答えた。
「うん。まぁ、ちょっと悩んでてね。」
ちろりとイズミを見ては答える。
「それにしてもすんげーでっけー研究所があるんだよ」
「見た事も無い本もいっぱい読めるかな」
「早くダブリスに着かないかなー!!」
そんな無邪気な二人を余所にはぼーっとした顔をしていた。
「なんだよ、は嬉しくないのか?」
「あー、うん。まぁね。」
曖昧に答える。
「でもこれから行くとこって南の方だったよね?暑いのかな〜って。」
やだなー暑いの。とこぼした。
「なんだ?は暑いの苦手なのか?」
と意外そうにイズミが聞いた。
「うーん。嫌いって言うか。肌さらすのはいけないことだって爺ちゃんに言われてたから。
僕、長袖しか持ってないよ、、、。」
「大丈夫、大丈夫。帰ったら用意してやるから」
イズミはそう言うとカラカラと笑った。
「弟子はとらない主義じゃなかったのか?」
シグが眠ってしまったエルリック兄弟に上着をかけてあげているイズミに聞いた。
「そうなんですか?」
も意外そうに聞いた。
「んーーー、、、」
「生きていたらこれ位の年かなって思ったら情が、、、、ね。」
イズミの瞳に何か深い悲しみの情が浮かんだ。
「それって、、、まさか。」
はシグとイズミの両方の顔を見比べながら言った。
「あぁ、これから家族になるお前には話しておくよ。私たちには子供がいたんだけどね、、、。」
「ごめんなさい、、、」
聞いた直後のは何を言ったらいいかわからずそう言った。
「いいや、いいよ。これから家族になるんだから。」
そう言うとイズミはの頭にぽんと手を乗せた。
「それに錬金術を学びたいって訴えるこの子達の目は真剣だった」
「その学びたい気持ちの裏に何か人には言えない理由がありそうだけど間違った道を選ぼうとしているならその道を正してやるのも『師匠』の仕事でしょう?」
錬金術師のイズミが二人を見つめながら言った。
「帰ったらチビどもの寝床を用意しなくちゃな。家の中が一気ににぎやかになる」
「寝床なんて当面必要無い無い!の寝床だけでオッケー!」
手を顔の前で左右に振るイズミ。
「は?」
「へ?」
そんなイズミの言動に頭を傾げるシグと。
「ふっふっふ段取りはしとかないとねぇ。次の駅で電話を借りましょうか」
そう言ったイズミの顔はとても楽しそうだったと後のは語っている。
2004/1/29脱稿
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