「どう言うこと!まで行っちゃうなんて!!」
ウィンリィは瞳に涙をためて訴えてきた。
たしかに直前まで言わなかった僕も悪いけど、、、。
もう、決まってしまったことだし、、、。
言葉は違えてはいけない。
「、よく聞いて欲しいんだ。お前のお爺さん、ジョナサン・からの遺書でお前は私たちの養子になるってことになっている。」
「は、、、?」
最初、僕はよく理解できなかった。
「だから、ジョナサン・が死んだ後、後見人兼育て親として私たちカーティス夫婦が指名されているんだ。」
「、、、、」
僕はあっけにとられた。
「ったく。あの爺さん、自分の死期と私たちがやってくる時期を計算してたとしか言えないね、、、。」
苦虫をつぶしたような顔をしてイズミは言った。
「それで私としてはこのまま一緒にダブリスに来て欲しいんだがいいか?」
「イズミ姉さんはどうなんですか?」
僕はイズミ姉さんの迷惑にはなりたくなかった。
迷惑になるぐらいならここで自分でなんとかする。
それぐらいの素手を持っていると子供の考えだが抱いている。
「私としては、、、師匠の最後の願いだからお前を引き取りたい。さいわい私のところには子供がいないんでね」
そうイズミが言うとシグさんが顔を曇らせた。
「シグさんは、、、、」
僕はシグさんの顔を伺った。
「俺は引き取りたいと思う。」
シグさんなりの笑顔を僕に向けてくれた。(と思う。)
「わかりました、、、。でももう少しだけ、待っててくれますか。」
「ああ。何週間もとはいかないが。」
そう言うとイズミ姉さんは僕の頭を撫でた。
こんな会話がされたのは爺ちゃんが死んで葬式が終わった日だった。
そのあと僕はエドとアルのことをイズミ姉さんに推薦した。
僕が二人の錬金術の才能を良く知っていた。だからだ。
でも本当は、自分一人、知らないところに行くのが嫌だっただけかもしれない。
そう思うと目の前で泣いている女の子に申し訳なくなってくる。
でも僕はイズミ姉さんに言ってしまったのだ。
二人にチャンスをくれるなら行きますと。
言葉は違えることは出来ない。
「これ、ウィンリィ。もしょうがないことなんだよ。の身内が死んでしまった以上後見人であるカーティスさんの所に行くのは。」
泣き喚くウィンリィをピナコお婆ちゃんなだめる。
「いや!、行かないで!私を置いてかないでよ!」
そういうとウィンリィは僕に抱きついてきた。
「ウィンリィ、、、」
僕は胸が痛んだ。
「泣かないで、ウィンリィ。僕はウィンリィは笑ってる方が好きだよ?」
そう言って頭を撫でてあげる。
それがせめての僕が彼女へできる慰め。
「それに、僕はともかく二人は帰ってくるから。」
そういうとものすごい勢いでウィンリィは顔を上げた。
「エドやアルじゃなくてじゃなきゃだめなの!」
そう言うとウィンリィは走り去ってしまった。
その後ピナコお婆ちゃんに謝られたが僕の方も謝っておいた。
直前まで話さなかったことを。
ごめんね。ウィンリィ。
2004/1/29脱稿
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