ボクはこの頃、少し心配なことがあるんだ。
それは兄さんのことなんだけど。
「でさ!今日はと森に行って木製の練成にチャレンジしたんだ!なっアル!」
そう言いながら兄さんは嬉しそうにパンを頬ばる。
「そうなの?でもあまりくんを困らせちゃ駄目よ?」
母さんはそんな兄にくすくすと笑いながら答えた。
「そんな!オレ達、困らせてなんかないよな」
と兄さんはボクに同意を求める。
「、、、うん、、、」
ボクは曖昧に答える。
「なんだよ、、、その間は。」
「何でもない」
そう言うとボクは最後に残していた牛乳を一気に飲み干して
「ごちそうさま!」
とその場を逃げ出した。
この頃、兄さんはちょっと変だ。
たしかに錬金術とか興味のあるものに対しての熱中の仕方は異常なものを感じさせていたけどそれともちょっと違う。
多分、これはボクの浅はかな経験から言わせてもらえば兄さんは恋をしているんだと思う。
ボクがウィンリィに対して抱いてるのと同じように。
でもボクはそれが心配なんだ。
だって相手は。
「なぁ、アル。ってさすごいよな〜!大人相手にもケンカで負けないし何より錬金術が使えるんだぜ」
それは最初は単なる憧れだったと思った。
「なぁ、アル。今日の、なんだか機嫌悪くなかったか?なんかあったのかな、、、」
そう言って眉間に皺を寄せて本気で心配している兄さん。
「なぁ、アル。今日の、嬉しそうだったな。なんか嬉しいことでもあったのかなー?」
そう言って嬉しそうに笑う兄さん。
「翁が死んで、、、これからどうするんだろう、、、、、、。」
そう言ってまるで自分のことのように悲しげな兄さん。
まるで母さんが死んだ時のように。
「アル、この頃を見てるとドキドキするんだ。それにが他の友達と遊んでるの見るとすんげー嫌な気分になるんだ。」
、、、、、、、、、。
兄さん、それを恋煩いと世では言うのでは。
ボクの兄さんはそっちの方面には全然興味がなくて。
きっとそれが恋煩いだってことさえ気づいてないんだろうな。
、、、、。
ボクは兄さんがそっちの方の人だとは思ってもなかったよ。
さんは確かにいい人だ。
兄さんの気持ちもわからなくもない。
こんなこと言ったらさんに失礼かもしれないけどさんは女の子と言われても納得するような顔をしている。
ようはかわいい。美人だ。
それにとっても優しい。
兄さんが惹かれるのもわかる気がする。
でも、、、、。
さんは男の子だったよね。
応援すればいいのか、阻止すべきなのかボクにはまだわからない。
2004/1/28脱稿
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