!!」

「やぁ、エド。今日は何して遊ぼうか?」

オレが呼び止めたら相手はそう返してきた。

 

 

 

 

 

 

彼は。オレはと呼ばせてもらっている。

彼はオレの憧れだったりする。目下の目標である。

理由は。

 

 

 

 

 

「今日はオレんちで錬金術をしようぜ!」

オレはそういうとの腕を引っ張った。

「えー?また?エドとアルはそれで良いかもしれないけどウィンリィは?」

は苦笑いをしながらそう返してきた。

「今日はウィンリィは女の友達と遊ぶんだってさ!」

「あれあれ?だからかな?エドワード君が機嫌が悪いのは?」

からかうようにはそう言ってオレの頭を撫でた。

「ちげーよ!なぁ、だから今日はそれでいいだろ?」

オレはを見上げるようにしてそう言った。こう言えばは優しいから嫌とは言わないと知っているから。

「あぁ。わかったよ。ちなみに今日はどんなのを試してみたいんだ?」

「この前は金属の物を練成したから今度は木の練成をしてみようと思うんだ。」

「そうかぁ、、、でもそれはまだエドには難しいんじゃないかな?」

は眉間に少し皺を寄せてそう言った。それを聞いてオレはムッとしたが

「でも、が教えてくれるだろ?」

とにかっと笑いながら返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、は錬金術が使えるただ一人の友達だ。

そして彼は命の恩人でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレがまだ今よりも小さかった頃、流れの乞食に襲われたことがあった。

その時、オレはたまたま一人でお使いに出ていて、近くに誰もいなくて。

怖くて何もできなかった。

乞食はナイフを持っていた。

それだけでも十分オレにとっては脅威だった。

怖くて動けなくて、それでも乞食はオレに近寄ってくる。

その時乞食に飛び掛って行ったのがたまたま森で遊んでいて、この事態に気づいただったんだ。

はその場にあった木を練成して棒にしてそれで乞食に向かっていったんだ。

でも、も子供であることには変わりなくて。

そしてオレが不甲斐なくて。

はオレをかばって乞食の持っていたナイフで左頬に大きな傷をつけられた。

その傷は今も残っている。ピナコばっちゃんは二度と消えない傷だと言っていた。

すぐに手当てをせずに乞食と戦っている間に砂やらが入り込んでしまったからだそうだ。

はオレを逃がして村の大人を呼ばせた。

でもオレが村の人を呼んでくるまでの間には乞食を倒していた。

左頬から大量の血を流しながら。

それからは着ている服の袖口で血を拭うとオレに近寄ってきた。

最初はオレは怒られるかと思って目を閉じた。

それにあの乞食を一人で倒すぐらいの奴なのだからきっと強いのだろうと思い怖かった。

だけどそれはオレが予想していたものではなかった。

「よかった、、、怪我ないね。よく大人の人を連れてきてくれたね。えらい。ありがとう。」

目線をオレとあわすとそう言ってオレの頭を撫でた。

オレはその時の瞳を見た。中心が黒くて。でも広がるにつれて青くなっていく瞳だ。

そんな深い青と相反するかのような赤い血がオレの目に映った。

そしてオレは泣き出してしまった。

なぜだか知らない。

怖かったからかもしれない。緊張が解けたのかもしれない。

でも言うならば自分のせいでの顔が傷ついたということがとても悲しかったのだと今は思う。

そんなオレをはそのまま抱きしめてくれた。

 

 

これがオレとの初めての出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ僕の家にあるその関係の本、持ってこうか?」

「あぁ。頼む。」

オレがそう言うとは頷いて手を上げた。

「んじゃ、また後で。ばいばい。」

そう言って手を振ってくれた。

「後でな!」

オレも腕をぶんぶん振って答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はオレより2歳年上で、

錬金術でもオレより少し先を歩いている。

ケンカでもオレより少し強い。

そしてすごく優しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、オレの憧れ。目下の目標だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2004/1/24脱稿

 

 

 

 

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