「あー、、、あっついなぁ、、、。」
青いコートを片腕に抱えながらタオルで首筋を拭った。
今、僕がいるのは砂漠のど真ん中。
きっとそんなこと聞いたらみんな僕のことを気違いと思うだろうけどどうしでも見ておきたい遺跡があるんだ。
それは遺跡。一夜にして滅びてしまったという伝説の都の跡だ。
本でしか知らないがどうやら本当にあるようだという噂を聞いたのでその噂を頼りに行ってみることにしたのだ。
どうしてそれを見たいかというとそれにはいろいろ訳があるんだ。
まぁ、話せば長くなるからそれはいつか話そう。
「あー、、、それにしても、、、無謀だったかも。」
今更そんなことを言っても遅いことは僕自身よくわかっているが言葉に出さなければ正気を失いそうだった。
うーん、、、。どうしよう、、、。
そこに僕はぴんっと思いついた。
最初っから思いついていればよかったもののと思うと自然に笑みが浮かんでくる。
「よーっし!いっちょやってみましょうか!」
そう気合をいれると僕は両手を合わせた。
そして砂漠の平原に両手を突きつけた。
すると不思議な、なんともいえない錬成反応が起こった。
普通の錬成反応ではない。
こんなに色彩豊かな錬成反応はきっと誰も起こしたことがないだろう。
そしてその錬成反応が終わるとそこには見事なオアシスが出現していた。
「いやー、よかった、よかった。地下水脈があって!」
彼はにこやかに笑った。
彼の名前は・。
さすらいの錬金術師。彼は巷で賢者と呼ばれているこの国屈指の錬金術師の一人だ。
軍部では彼を血眼で捜している。ぜひとも国家錬金術師にスカウトしたいがためだ。
なぜなら彼には特殊な錬金術を扱うことが出来た。
それは錬金術の大原則と言っていい『等価交換』を無視した錬成を可能とする唯一の錬金術師だったからだ。
2004/2/14脱稿
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