この想い、君に届け!
今日はなにやら甘いにおいがここ彼処から漂ってくる。
この匂いは、、、なんだろう?
「明日はね。好きな人に告白する日なんだよ。」
ホットチョコレートを飲みながらはオレたちに説明した。
「というか結び付けてくれた人が死んだ日かな?」
「はぁ?なんだそれ?」
オレはますますわからなくなっての顔を凝視した。
そのも苦笑したようななんとも言えない顔をしていた。
「昔、昔のお話です。あるところに男と女がいました。二人は互いに愛し合っていました。
ですが二人の一族は互いに憎みあっている一族同士だったのです。
そんな二人を哀れに思ったキリスト教のバレンタインと言う司祭さまがひそかに二人の契りを許しました。
しかしそのことが元で司祭さまは二つの一族から責められ殺されてしまったのです。
その司祭さまが二人の愛のために殉教された日と言われているの今日なんだよ。」
は目を細めながらそう一気にオレたちに話した。
「つまり、その二人にあやかって自分も結ばれたいと想って相手に告白するっていう日?」
アルが首を傾げながらに聞く。
「そう。まぁ、今じゃただ単に親愛の印に何かプレゼントを贈ったり、女の人が意中の男にチョコをあげる日になってるけどね。」
ため息まじりには言った。
その様子を見てオレはの思っているだろうことを口に出してみた。
「要は今はただ単にお祭り騒ぎだって言いたい顔だな。ところでなんでチョコなんだ?」
アルも顔を縦に振る。なぜ女が好きな奴にチョコをやる必要があるのか?
「それは、それはふかーい意味があってね。この日本のお菓子会社の策略なんだ。」
はもっともらしい、すごく真面目な顔で言った。
「昔ね、この告白日に注目したお菓子会社がね、『チョコを贈って彼と甘い仲に』とかいうフレームをつけて売り出したんだ。
そうしたら、、、、。」
は手のひらを表にして肩をあげて見せた。
「さっきエドが言った通りの状態になったのさ」
呆れたという顔をしてはため息をつく。
「そのせいで僕の人生、どんなに惨めだったか、、、。」
ほろりと涙を浮かばせる。
「「へ?」」
そんな表情が浮かぶなんて思ってもいなかったオレたちは焦った。
「な、何かあったのか?」
「惨めなことその一つ。ぼくは本命チョコをもらったことがありません。」
がくっと二人はテーブルに突っ伏した。
「いつもいつも義理チョコばかり!惨めなことその2.しかもその本命はすべて行きだ!」
だんっとテーブルを叩きつける。目が、目が怖い。
「惨めなことその3。、、、、、、、友チョコを催促されること。」
「と、友チョコ?」
オレはまた出てきたよくわからない用語を繰り返した。
「そう!友だち同士でチョコを交換することをそういうみたいなんだけどなぜか、なぜか!
ぼくにまで催促するんだな!これが!!!」
アルがの形相にびっくりして腰を浮かした。
目が血走っている。
「バレンタインデーっていうのはね、女の子から男の子に対する告白日であって男のぼくがなぜチョコをやらなきゃならないの!」
「、、、、、、、落ち着け。」
オレは一応なだめてみる。
「たしかにぼくは年相応に見えないかもしれない。だけど、だけど。女じゃなーい!!!」
涙ぐみながらそう言われても、、、。
そういう仕草を見ていると性別もあやしく、、、じゃなくて哀れになってくる。
「あーもう、、、これだからこの時期は嫌なんだ。明日も大学の女の子たちが友チョコしようねって無理やり約束させられてるし。
ぼく、男に見られてない、、、、」
行きたくなーい!行きたくなーい!じたばたとは暴れていた。
「それにとかいろんな男共もチョコくれ、チョコくれってうるさいし、、、。ぼくどーしたら」
わーんと騒いでいる中、その言葉はオレの中で響いた。
『とか男共がチョコをねだる、、、』
アルを見るとアルも同じことに思いついたようにオレと互いに顔を見合わせた。
「それって、、、、。」
アルが騒いでるに聞こえないように小声でオレに聞いていた。
「まさか、、、、、、。」
オレも信じがたい。
ウィルだけならともかく他の男も、、、、。
かく言うオレもの好いている。アルも好いている。
「兄さん、これはの貞操の危機では?」
「あぁ、そうかもしれない」
「ま、守らないと」
「あぁ。明日はオレたちもダイガクって所に一緒に行こうか」
そんな会話がエルリック兄弟の間で成されているとは露とも知らず、一人は頭を抱えぎゃーぎゃー騒いでいた。
蛇足だが翌日、は律儀に友チョコを女友達に渡し、しょうがなく・ウィルにもチョコを渡していたという。
そして大学は大変な事態に陥ったのは言うまでもない。
2004/2/14脱稿
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