「今日は節分だ」
がそう言い出したを心底嫌そうな顔で見た。
「、、、、、、、そうだね。節分だね。」
「節分に何かやるのか?」
そののなんともいえない嫌そうな顔を見てエドさえも少し怯んだ。
ことウィルが何かこう、楽しそうに話し掛けてきて、が嫌そうな顔をする、、、それは何か大変な騒ぎの元なのだ。この家の居候になってから嫌と言うほどそれは身にしみた。
「あぁ、今日は季節の変わり目。そしてこの季節の変わり目に鬼がやってくると言われてるからその鬼が家に入り込まないように退治する日なんだ。そしてその代わりに福を招き入れる日なんだ。」
にこにことそう解説するをと共に聞いているエドは何やら退治する、と言う言葉に嫌な予感がした。
いや、正しくはは怯えてて、予感がしたのはエドだけだったが。
「それでこれから退治される鬼の役目を決めようと思う。」
のこの言葉はどうやら決定事項らしい。
集められたは招集者である、先ほどの場にいた、エド。今日が家事当番だったため先ほどいなかったアルだった。
(ちなみにさすがに小エドと小アルにはかわいそうだろうと鬼の目に涙の心を見せたの心配りのため二人は招集されていない)
「ではこれから今年の鬼の役目をやる人をくじ引きで決めることにします。」
そして出されたは白い糸。四本あるうちの一本だけ先が赤く塗られている。
「この赤いのを引いた人が鬼ね。さぁ、今年の名誉ある鬼は誰かな〜」
そう言いつつはその糸を束ねて混ぜた。
「さぁ、エド。君からどうぞ。」
そう言われたエドは思わず後ずさりした。
やばい。でもここで引かなければ問答無用で鬼にされる。
「、、、、、、、。」
エドは無言のまま、一本引き抜いた。
「!!!!!!!」
それは赤だった。
まごうことなき赤だった。
「〜〜〜〜〜〜!!!」
声にならない叫びをあげつつ沈没していくエド。
それを見てどこか安心している。
またまたその光景を見て兄を哀れに思うアル。
それは、アルは見ていたからだ。
が一瞬の早業で糸を取り替えている場面を。
エドがまんまと騙されたことを。しかしここでそんなことを言えば兄の怒りととの壮絶な戦いが模様されることだろう。
アルも自分の身の可愛さにそれはできなかった。
「はい。これを顔にかぶって。」
エドは鬼の仮面を渡された。それはどこにでもあるような紙のお面だった。
「あ、頭でもいいからね。前が見えづらいかもじれないから。」
そう言いつつは他の二人にこぶし二つ代くらいの袋を渡した。
どうやら中には丸い小さい物がいっぱい入ってるみたいだ。
エドもさすがに不安になってきた。
「ところでウィル。鬼を退治するってどういうことをするんだ?」
顔は笑っているが目は真剣だった。
「今から僕が実践して見せるから。」
そう爽快に笑うと袋に手を突っ込んだと思ったらいきなり何かをエドに叩きつけた。
「鬼は〜外〜!!!」
そして家に向かって
「福は〜内〜!」
と少しの豆を投げ入れた。
そう、エドに投げつけられたのは豆だった。
「あ、そうか。エドは小さいから豆鬼だね。豆鬼は〜外〜!福は〜内!」
はとても楽しそうに、そう言い放つと豆をエドに投げつけた。
そしてのその言葉を聞き、エドの顔は一気に鬼の形相へと変貌していった。
「おお!本当の鬼みたいだ。でも小さいけどね〜。ミニ鬼は〜外〜!福は〜内!」
その言葉を聞き、とうとうエドは切れた。
そこら辺にあった金属を錬成させて金棒を作って果敢にもに襲い掛かっていった。
「、、、、、、、アル。ぼくたちはここで退散しといた方がいいかなと思うんだ。」
「、僕もちょうどそう思ってたところ。家に入ろうか。」
そしてエドとによる戦いは朝方まで続いたらしい。
外に出てみた時、そこは無残な状態だったことをここに記す。
さすが人間破壊兵器と言われたことのある鋼の錬金術師エドワード・エルリック。
そしてそんなエドをおもちゃにできる人間、は尋常ではないことを益々思い知らされるのであった。
2004/2/20脱稿
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