電車に揺られて数十分、バスに乗ること数分。
僕たちはの学校にやってきた。
実は僕は密かにに「学校祭っていうのに僕、行ってもいいかな」と尋ねてみた。
その時のはなんだかバツの悪いような顔をした。
「ごめん、、、。」
ただ、はこれだけぽつりと言って微笑んだ。
「そっか、、、、」
僕は寂しくなったけど、できるだけ表情にでないようにがんばった。
が必死になっていることを少しでも知りたいなと思ったのだけど。
はあまり来て欲しくないみたいだから、、、。
我慢しようと思った。
「の学校祭ってどんなことやるの?」
僕はには聞けなかった。だからとは違うけどダイガクに通っているウィルさんに聞いてみた。
とウィルさんは僕たちよりもとは長い関係だし、何より師弟だ。
だから知ってるかもしれないと思ったのだ。
「ん?学校祭?」
ウィルさんはポッキーを口にくわえたまま上下にふりふり。そして僕を見つめた。
僕はどんな答えが返ってくるのか、どきどきした。
「あー、、、アルは大学に興味があるの?」
「うん、、、まぁ、」
本当は興味がある程度ではないのだけど。
兄さんもやウィルさんが行っているダイガクにとっても興味を持っている。
ダイガクっていう所は勉強するところらしいし、何よりウィルさんはともかくとしてはとても楽しそうだ。
僕たち、錬金術師にとって毎日が勉強で。もっと勉強したい、知識を知りたいと思うのは当然のことかもしれない。
兄さんはどうだか知らないけど(興味を持っていることは確かだ)僕はダイガクに行ってみたかった。
僕の顔に知らず知らずにそういう表情が出てきてたのかもしれない。
「じゃあ、、、、」
ウィルさんは遠くを見るようにして呟いた。
「行こっか?」
そういうと僕の頭を撫でた。
当日はに差し入れを持っていってあげよう。
ウィルさんは
「には内緒だよ?」
とウィンクしながら言ってたのでには聞いてない。
けれどウィルさんに言ったらはとても喜ぶと思うって言ってくれたので持っていくことに。
だって、の有様といったら、、、。
ここ数日間まともにご飯を食べていない(食べているのかもしれないけど家にいる間は何も食べずにパソコンとかいうのに噛り付いている)。
だから少し心配だった。
だってあんなに食べるなのに、、、、、、。
は兄さんと同じぐらい、いやそれ以上によく食べる。イマイチそれは体に表れないけど。
どうやらの錬成方法に関係があるみたいだ(少なくとも僕と兄さんはそう思っている)。
そのが食べないなんて。
確かにこの頃は錬金術をやっていないからその分パワーの消費率が違うのかもしれないけど。
でもあれは異常だと思う。
昔、いや今でも時々そうだけど、兄さんもあんな感じの事が多かった。
一つのことに熱中すると寝食を忘れてしまう。
そうすると人間はどうなるか、僕は兄さんのおかげで嫌というほど思い知っている。
兄さんは今でこそないけれど、昔は何度か倒れたりしていた。
決して体が弱いわけではない。だけど人間、無理をすれば誰だってああなる。
その時の兄さんと今のはとても似ているように僕からは見えたのだ。
だから、とても心配で。
もしかしたら学園祭当日も忙しくて何も食べてないかもしれない。
そう思って僕は簡単に食べられるものを持っていこうと。
そして1週間ぶりにみんなで一緒に食べようと、そう思ったのだ。
2004/10/5脱稿
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