「じゃあ、まずどうすればいいんだ?」

エドがに説明をうながす。

「うん。まずね、これに名前と血判を押してほしいんだ。」

「「けっぱん!?!?!?」」

二人は驚く。

「うん。そうだよ?二人とも判子なんて持ってないでしょ。ちなみに血判っていうのは指先をちょっとだけ切って血をだしてそれを判子代わりにすることだよ。」

そう言うとは羊皮紙と万年筆、そしてナイフを取り出す。

「はい」

満面の笑みをたたえた幼子がナイフを自分に突きつける。そんなビジュアルだった。

「いや、それはなんでもやりすぎじゃ、、、。」

アルが抵抗する。

「だって、こういう書類ってやっぱりその人だって証明するものがなくちゃね。

あっ、ぼくは判子があるけどちゃんと血判するからね。二人だけに痛い思いはさせないよ。」

は鼻息荒く拳を握る。

二人は顔を見合わせる。ここまで来たら引き返すにも引き返せない。

「あーもう、わかったよ。んでどこにサインするんだ?」

エドは万年筆を取ると羊皮紙を引き寄せる。

「ここと、ここね。それから名前の上に血判ね。」

エドがどうしてオレこんなことに巻き込まれてんだろ、と顔ににじませながら自分の生身の手がある左手をだした。

そして親指を軽く切り裂いた。ぷつっと紅い玉が浮き上がる。それを人差し指で潰すように親指全体に滲ます。

そしてエドは自分のサインの上に指をのせた。

「はい。アルも書いて」

はエドからその紙を引っ手繰るとアルに渡す。

「エドの横に書いてね。」

はそりゃあもう、嬉しそうに笑っている。

そんなの笑顔を見てアルは溜息をつきながらそれでもが幸せそうなら、の気休めになるんならとエドと同じ行動を繰り返した。

 

これが後にどんな災いを引き起こすことになるかは、この時しか知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃーーーー!えどーあるー助けてー!!」

どたどたと大きな音がだんだん近づいてくる。

エドとアルは互いの顔を見合わせてとうとう来るべき日がやってきてしまったことを互いに確認した。

、大丈夫?」

アルが駆け込んできたに聞いた。まだ一応大丈夫そうだ。所々擦り傷をしているだけだ。

「やぁ、エドくんにアルくん。勉強はどうだい?進んでる?」

にこやかにどうやって移動してきたのか息も切れずにすごい速さで現れた・ウィル・ウォルサムが話し掛けてきた。

はその声を聞く以前に既にアルの影に隠れた。

「ええ、まあ。」

エドが交わす。

「ところでがここに来なかった?」

にっこりと笑いながらどす黒いオーラを滲ませながらは二人に聞く。

「い、や、、、、」

そのどす黒いオーラに押されるアル。思わず後退する。がそこにはがいる。アルはにぶつかり止った。

「、、、、、、、、」

エドもどう言葉を発すればよいか思い悩んでいた。

そして兄弟は同じことを思い出していた。

そう二人の師匠であるイズミ女史である、、、、。この気迫、そして弟子に対する絶対的な力。

イズミ女史の年齢よりかなり自分たちに近いであろう彼から発されるこの気はまさしく彼女と同じだった。

「「、、、、、、」」

二人が黙っているとはにっこりと笑って言った。

、アルくんの後ろから出てきやがれ」

口調も優しげなのに言葉が優しくありません。

はしぶしぶとアルの影から出てきた。

、何度言えばわかるのかな、、、、。」

にこやかに、穏やかな声。でも肩を何故動かしているのだろう。そしてその肩はごっきんごっきんと鳴っている、、、。

「エドくんもアルくんもそんな駄目な子、庇わなくていいんだよ?」

何気に酷いことを言う。でも顔は穏やか。

「、、、、。」

「師匠。」

は一瞬笑っていた目をカッと見開いて訂正する。

「、、、、師匠。今日はぼく、本当にどうしても明日出ないといけない研究会が、、、、。」

は必死に説明をしだす。アルの服の裾を掴みながら。

そしてアルはに服を掴まれているから自分は兄の服を掴んでいる。

なぜなら兄が一人で逃げないようにと。

「、、、、、、、研究会と僕の個人授業、どちらが有益と?」

「どちらも有益です!でも、、、、」

はすかさず答えた。

「ん、、、?」

の個人授業はいやだーーー!!!」

は叫んだ。そして滝の涙を流していた。

「「!!!」」

兄弟は驚いた。聞いていた話と違う。たしかが用事があるときなどにへの説得を協力するためにあの組合を作ったはずだ。

「だから、これ!」

そう言うとにこの前兄弟に書かせた誓約書を渡した。

「これは、、、、、、、、、。二人ともいいの?」

は二人に問い掛けた。

「何がだ?」

エドが眉をひそめて聞いた。

「だからこれに書かれていること。」

がぴらりと羊皮紙を振る。

「、、、、、、どんなことが書かれていますか?」

アルがまるで何かを悟ったように聞いた。

「えーと、エルリック兄弟も僕の授業にご参加頂くということが。つまり僕に弟子入りすると。」

……・・・・・

「ごるぁー!お前騙しやがったな!!」

エドが物凄い形相で振り返った。

、どういうつもりなの!」

アルもを逃がさないように腕をひっ捕まえて聞いた。

は逃げようと腕をくねらせたがアルの力に敵わない。

「ええーとつまり。組合第1条の一人の苦しみのはみんなの苦しみ、という言葉の体現、、、。」

にこーっとは笑う。だがその笑顔には汗が流れ落ちている。

「「えーーーー!!」」

エルリック兄弟は同時に声をあげた。

「、、、、、というわけか。」

ことの次第を聞いていたはにっこり笑って言葉を続けた。

「んじゃ、これから僕がみんなの師匠だからね。よろしく」

これまた嬉しそうなの笑顔。下僕が増えたと喜んでいる笑顔だった。

「「うそーーーーーー」」

二人は涙を滝のように流しながら言葉の撤回を頼んだ。

既に己らは師匠について錬金術については学んでいると何度も訴えた。

しかし、書類がそろっている。の一点張りではそれを却下。

この世界の錬金術を学ぶのもよかろう?とにこやかに彼らの言葉を蹴り倒した。

はというとこれから自分一人での言葉攻め(子どもだなぁとかいい子だなぁなど)を受けずにすむと花を飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の勝者  さん

今回の敗者  エドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック兄弟

今回の棚から牡丹餅賞  ・ウィル・ウォルサムさん

 

 

 

 

 

 

 

The end,,,,,,?

 

 

 

 

2003/12/16脱稿

ふー終わった。ごめんね、、、。エド、アル、、、。なんだか書きたかったのですよ。

ちなみにこれからそういうことで4人で錬金術について勉強をします。

多分主人公がホムンクルス製造に入るまでこの四人の質疑応答で授業は進むんだろうな。

なんだか苦しい展開ですみません。

やっぱりプロットに最初から入ってないワードを入れると苦しくなることが判明したよ、、、、。

 

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