ホムンクルス作戦会議
現在彼らは工房の中庭にいる。
そこでは色々な草や花、それに一本の桜が植わっている。
現在は花も散り、緑がまぶしい。
その木の下が
彼らの秘密基地である。(しかし、秘密と行っておきながらこの家の主人である以外は皆知っていることだが)
「それで、兄さん今日は何するの?」
小アルフォンスは少エドワードに聞いた。
小アルフォンスはアルフォンスと仲が良く、慕っているのでそのアルフォンスの真似をして小エドワードのことを『兄さん』と呼ぶことにしている。
小エドワードも兄と呼ばれるのが嬉しいので小アルフォンスにそう呼ばせている。
実際、小エドワードの方が数日間早く生まれてきている。
だが、体格は彼らのドナーに似てか、小アルフォンスの方が少し大きい。
彼らはドナーであるエルリック兄弟に性格も体格もそっくりである。ただし身長が30センチメートルである以外は。
彼らはに創られたホムンクルス、人造小人である。
父親は名前の通り、エルリック兄弟である。
さて話は冒頭に戻るが彼らは今これから始まる今日をどうやって過ごすか相談している最中である。
「そうだな、、、どうするか?」
小エドは逆に小アルに聞く。
「昨日は図書室で本を読んだよね」
今日もそうする?と小アルはかわいらしく小首を傾ける。
「でも今日はあいつらが図書室にいるだろ?」
小エドの言うあいつらとは本家エルリック兄弟のことである。
小エドと本家本元のエドワードは仲が悪い。というより一方的に小エドがエドに対して敵対心を抱いている。
何かというと豆豆と言うエドが小エドは気に入らない。自分だって標準規格から考えれば小さい方だろと言いたくなるらしい。それに自分が小アルより小さいのはすべてドナー(父親)であるエドワードのせいだと逆恨みをしているのである。
まあ、から言わせれば小エドが小アルと比べて牛乳を飲まなかったのと夜に眠らないのが悪いのであるが。
「だから、色々教えてもらえるかもしれないじゃない?」
小アルはにこにこしてそう言う。この頃小アルはアルフォンスに錬金術の基礎を教えてもらっているのは皆知っていることだ。
「錬金術って面白いよねー」
「たしかに面白いけどできればオレはに教えてもらいたいな、、、、」
小エドはぷうと頬をふくらまして言う。だがそれは望めないことだ。なぜならはまだ修行中の身であり何より大学やらなんやらと忙しかった。
そのこともあり彼らの錬金術の勉強は彼らのドナーであるエルリック兄弟に委ねられたのである。
「また、兄さんはを困らせるようなこと言って、、、。」
小アルは腕を組みながらどうしようもない兄だと溜息をつく。
「だってどうやってもエドのようにパンって手を打ってそれだけで練成できないんだぜ。」
小エドが口を尖らせる。
「たしかにエドやアルって手をパンと叩くだけで練成できるよね。どうしてだろ?」
小アルはムーと考える。
「それに、オレとしてはあのオートメイルっていうのが気に食わない」
「なんで?」
小アルはまじまじと小エドの顔を見た。彼がエドのオートメイルに何か感じているなど聞いたことがなかったからだ。
「かっこいいから」
小エドは真剣な顔をして言った。
「ぶっふ、はは」
小アルはそんな小エドの様子を見て思わず吹き出した。
「な!なんで笑うんだよ!」
「だって〜」
小エドは真っ赤になって小アルを問い詰める。
「どうしてそう思うのさ?」
小アルは未だ腹を抱えながら小エドに聞く。
「そりゃ、決まってるだろ?を守れるからだ」
小エドは顔を真っ赤にしながら口を尖らせた。
「あの腕や足ならそれだけでも武器に出来るし」
「それならぼくはもうちょっと大きければよかったなぁ」
知ってる?アルってすごい強いんだよ。あのエドはアルに勝ったことがないんだって。
「ぼくも普通の人ぐらいの体だったらを守れるかもしれないのに、、、。」
そういうと二人は沈み込んだ。
ついまたこの間、は賢者の石を狙った者たちに襲われた。
その時たまたまはちびたちとエドと一緒だった。
その時二人はまざまざと自分たちの力の無さを思い知らされたのである。
が殴りかかれた時もどうすることも出来ず、ただただ敵の動きを止めようと足にしがみついた。
その時のエドがやってみせたオートメイルを練成して武器に変えるのを小エドは見てかっこいいと思った次第だった。
結局少年二人だからと奇襲をかけてきた敵はエドに蹴散らされた。
ちなみに少年二人に対して一人を拉致するという任務でらくらく出来るだろうと思っていたらしいその敵の団体さまは全治一ヶ月の怪我をしたらしい。
二人は眉間に皺を寄せながら桜の木の根元に寝転んだ。
「どうすればを守れるかな?」
「どうすれば強くなれるかな?」
二人は口々にその言葉ばかりをつぶやいた。
そこで急に小エドは起き上がった。
「小アル!今から図書室行こう!」
「なんでまた、急に」
小アルはそう言いながら体を起こした。
「オレたちは体が小さいから出来ないことが多い。だけど錬金術なら使えるし錬金術をうまく使えばを守れるかもしれない!」
小エドは自分の握りこぶしを見つめていった。
「うん!」
小アルは思い切り頭を縦にふった。
二人は飛び起きると図書室へ向かって走り出した。
それは暖かい緑の季節の出来事だ。
2003/11/30脱稿
さん一回も出てこない夢です。さんはちびたちにこんなに思われてるのよというお話。
ちなみに菜央さんが前回の「我らがホムンクルスに愛を」を読んでアンコールしてくれたので書きました。
所要時間大体1時間ちょっと。かなり粗悪なものですがどうでしょうか。
私としてはこれで良しと思っちゃってるんですが。
ちなみに蛇足ですが彼らはエディプスコンプレックスを抱いています。
まぁ、彼らと言ってもエディだけですが。
あ!今度から小エドのことエディって呼ぼう。そして小アルはアルフィ。うん、かわいい。
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