「よー!エルリック!お神酒だぁー!!!」

そう言ってオレが扉を開けた途端、は酒をぶちまけた。

 

 

 

 

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、、」

オレは無言で床掃除をしている。

眉間に皺が寄っているのを自分でもわかる。

「なぁ、ごめんってば、、、」

何故、この寒い時期に。よりにもよって玄関先で。

 

ここはオレの下宿しているアパートのオレの部屋の前。

もっと詳しくいうと玄関先だ。

玄関と言ってもそんな大層なものではなく、オレの部屋とアパートの廊下を挟んでいる扉だ。

「なぁ、、、、、」

そしてオレの横で捨てられた犬のような、いやいや、そんなかわいらしい表現したくない。

でも外見上はそう、、、そういう表現が似合う小柄な男だ。

名前は

オレの隣人であり、オレの現在の研究のパートナーだ。

 

 

 

 

オレは扉を抜けてきた。

そして今、「扉の向こう」であるこの世界でもう一度、アルに逢うために研究している。

真っ先にオレの考えた事はあの扉を開く事だった。

しかし、ここでは錬金術がない。

あの扉は一定条件の錬成によって偶発的に開く事はダンテから聞いて知った。

また、そのダンテに錬金術を教えた張本人であり、オレの実の父親でもあるヴァン・ホーエンハイムからもそのことを追求して聞きとめた。

だが、結局のところ、錬金術の使えない今、その方法はオレは使えない。

それに何せ、今まであちらから開くだけでこちらから開いた例はオレしかない。

それも肉体が門の中にあるということ、そしてもう一人の扉の向こう側にいた、オレの魂があったからこその特殊事例でだ。

あの方法は二度とは使えない。

そんなことを悶々と考えながら父であるヴァン・ホーエンハイムの仕事をしばらく手伝っていた。

どうやら、この父はこの世界では名の知れた学者らしい。

それも専門分野を決め付けているのではなく、満遍なく知識を持っていた。

政治、経済、医学、科学。極めつけは黒魔術。

オレはそれはどうだろうか、、、と思っていたが

「黒魔術は錬金術と関係があるんだ」

の一言で流された。

オレはしばらくの間、父さんの助手としてついてまわり、この世界の仕組みと科学を学んだ。

そして、オレは科学に興味を抱く事になった。

あちらで言えば錬金術も科学と呼ばれていた。だからこの科学にも興味を抱いたんだと思う。

今現在はその中でも空を飛ぶ事が一番の興味どころだ。

いつか、扉の向こうに帰ったとき、きっと役に立つに違いない。もしかしたらこれで扉を見つけられるかもしれないという

かすかな希望を抱きながら。

 

 

 

 

 

話がそれた。

オレはだから今、トランシルバニアのある学者が集まっている学問都市にやっていた。

都市と書いたがそれは片田舎で実験するには充分な広さを持った実験場が広がっているだけのような都市だった。

しかし、ここに来れば宙を飛ぶという夢を語れる学者がたくさんいた。

その一人がこいつ、

そして今のオレのパートナー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁー、、、ごめんってばぁ、、、、、」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

あえて無視。こういう奴はつけ上がらせていけない。

「う、、、、、うぅう、、、。」

声の質が変わったぞ?とオレは不審におもい横を見ると、、、。

目に涙をためてますよ?この人。

あちゃーっとオレは天を仰いだ。天井の結構汚れている木目が視線に入ってきた。

はここにいる学者集団の中でも若い方に入る。

なんたってオレと同じ、17歳だ。

ここではこの年齢が最年少だ。

オレがここにいるのはあまり言いたくは無いが父さんのおかげだ。

学校に行った経歴も持っていないオレだが、それでもあの父が一筆推薦状を書くだけで参加させてくれることになったのだ。

、、、まぁ、それがなくてもちょっと時間をかければオレの実力で入り込む事だってできたさ。

でも、そんな悠長なことは言ってられない。

ここでもオレは権力を最大限に使って、そして、、、。

まぁ、オレの話はこれぐらいにして。

問題はこいつ。

目の前にいる、小柄で髪の黒いこいつ。

は日本とかいう国から単独でやってきた留学生だ。

なんでも分子構造に興味があったのだが自国ではその研究はまだまだ盛んではなかったので

遠路はるばる、海まで越えて来ちゃったらしい。

聞いてみればこいつはこいつですごい天才だった。

多分にそのまま国にいた方が未来は出世できただろうが本人にはその意志がなく、

国のお偉方が引き止めるのも苦とせずに国を飛び出したと聞いた日にはなんなんだ?こいつは。と正直、思った。

でも、こいつと付き合っていくうちにこいつが国を出なければいけなかった理由がわかった。

 

彼は異端だったんだ。

この世界には戦争が満ち溢れている。

今、こいつの国では戦争ばっかやっているらしい。

このまま、この国にいれば必ずや戦争の道具を作らされるに違いないと。

は考えて、無理を通して出てきたんだ。

非国民と言われながら。

オレは、そんながたまらなく愛しく感じた。

そして、オレはそのの中に昔の自分を思い描いていた。

自分も、そう思っていたことがあった。

他の誰かが勝手に戦争をやっているって。

でもそれは間違いで。

オレが研究をするってことも結局、戦争につながって行くということに。

オレは知っている。

彼はいつ、その事実に気付くだろう?

自分のしたいことだけを追いかけて。国を、家族まで捨てて。戦争から逃げて。

でも、いつかは自分にも戦争は繋がってくることに。

そのとき、こいつは。

人を殺すものは創りたくないと言っているは。

悲しむのかな?

そう考えると胸が苦しくなった。

だから、オレはがそんな想いを一人でしないように、できるだけ一緒にいてやりたいと、、、。

せめてこの世界にいる間だけでも、、、。

そう考えた。その結果、オレはとパートナーを組んだのだ。

 

 

 

 

 

んで。

話は戻る。

そのパートナーであるはこともあろうに、徹夜開けで頭が朦朧としていたオレに

扉を開けた途端、酒をぶちかましてきたのだ。

おお、おお。オレに怒ってもらいたいんだな?と反応するよりも早くにばら撒いてしまった酒を拭きだした。

このままでは大家に怒られる。

あの、大家は怒ると怖い。しかも安い金で借りてるんだ。こんなのをばらまいたと知った日にゃあ、何を請求されるかわかったもんじゃない。

今は父さんから仕送りを貰っている身であり、昔(といってもつい何年か前だけど)とは違う。

自分のお金でもないし、今でもバイトしながらじゃなきゃ研究していけない状態だ。

それに、いつも怒鳴って怒るだけじゃ芸がないからな。

そう思ったオレは無言で作業を続けたのだった。

オレの予想通り、はオレが怒っていると(それも非常に)思ったらしく百面相が始まった。

最初はへらへら。次は「あれ?」。そしてまずい、、、。今じゃ泣き顔だ。

、、、、、、、、なんてわかりやすい、、、。

お前、17だよなぁ???

 

「ご、、、ごめん、、、」

は涙声で謝る。

オレは天井を見上げていた視線をに戻して頭を撫でた。

「あー、、、よしよし。わかればよろしい。」

ぽんぽんとの背中を叩きながらオレはを部屋の中にいざなった。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃーん!」

泣き止んだはエドに小さなビンを見せた。

「、、、また酒か?」

エドワードは溜息をついた。

「それで?さっきはオミキとか言ってたけど。オミキってなんだ?」

こう聞いてやるとは嬉しそうな顔をした。

「お神酒っていうのはね、新年最初に飲むお酒のこと!」

「へー、、、。」

「でね、エド。いっしょに飲まない?」

白い、小皿みたいのを出しながらはそう言ってきた。

とてもうきうきしている様子だ。

「今からか?」

「そう、今から。」

「それがお前のいたとこの風習なのか?」

エドは肩を落としながら言った。

でもがどうして風習にこだわるか、エドは知っていた。

は故郷が懐かしいのだ。その故郷には帰れないから。せめてその故郷の風習をやってみようと思っていることを。

だからエドは無下にできない。

「そう。」

は嬉しそうにコクリと首を縦に振る。(これもの国の習慣で同意には首を縦に振るらしい。)

「で、お酒を人にかけるのも風習だと。」

「うん!」

にこやかな笑顔をもって頷いたの顔に動かないオレの義手が直撃したのはが答え終わる前だった。

 

 

 

 

 

 

 

「いってー、、、、、。」

が鼻をさすりながら。それでも嬉しそうにオレを見ている。

「何がそんなに嬉しい?」

オレは鼻息荒く、に詰め寄った。

「あのねー、それでね。このお神酒をかけるとね、今までの穢れが落とされるんだって。

去年、一年の罪を。流してくれるんだ。」

はそんなオレには構わず、目をつぶって語った。

「だからさ、エド。そんなに苦しそうな顔、しなくてもいいんだよ?」

そういうとはオレの頭を自分の胸に抱え込んだ。

「へ?」

「エドはぼくの事、とっても良くしてくれる。だから好き。だからできれば笑ってて欲しい。」

まだまだ、片言で。子ども言葉ぐらいしかしゃべれない

時々、もどかしく感じるけど。その直接的な言葉がオレには。

 

 

 

 

 

 

 

 

救いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

「ところでオレ、お前に何かしゃべったっけ?」

「ううん。ただ、いつも懺悔したがっている顔してるから。」

「はぁ?そんな顔してるわけ?オレ。」

「うん。時々ね。でもさ、エドが思っている以上にエドの罪は重くはないと思うよ。」

「お前はオレがしたこと、知らないからそんな、、、」

「だってばちがあたって身長が伸びないんでしょ?」

「結局、そこかぁああああ!!!」

がつん!(エドの義手がの頭に直撃した音)

 

 

 

 

 

 

 

2005/1/6脱稿  Writer 夢見由宇

 

 

 

やばい。

何がやばいって、、、。

こんな小説、どうですよ?

もう、、、駄目ぽ、、、、、。

こんなんでよろしければ持ち帰ってやってください。

無駄に長いですが、、、。

今年もよろしくお願いします。

                     

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